とてもとても残酷な話ですが、健康だって平等ではありません。個々人の違いはもちろんあるのですが、ここは疫学的にマルっと大きな集団としての健康格差のお話です。
例えば、最もよく理解されていることとしては「①女性の方が長生き」です。現在の日本では、実に女性は、2人に1人が90歳まで生き、16人に1人が100歳まで生きる時代になっています。
②お金持ちの方が長生きです。
③教育レベル(学歴)の高い集団の方が長生きです。国立社会保障・人口問題研究所の佐藤一麿氏の論文によると、「全年齢層 に対する分析の結果,大卒者ほど主観的健康度が良好であり,肥満,飲酒,喫煙割合も低く,スポーツ を行う割合が高い。年齢別の分析の結果,主に50歳以上の高齢層において大卒による健康促進効果が観察される。50歳以上の高齢層の方が主観的健康度の良い割合が高く,肥満,喫煙割合が低い。これに対して49歳以下の若中年層では大卒による健康促 進効果はやや限定的だった」そうです。学歴と健康格差については、様々な研究がされていますが、日本ではだいたい1.2~1.5倍あります。欧米での同様の研究では2倍くらいあるので、日本はまだ少ないほうであるとはいえ、大卒の方が長寿であるということです。
④寒い所より暖かい所の人の方が長生きです。
⑤親が長生きの人は長生きすることが多いです。
これらは日本国内だけの話ではなく、地球規模で見てもGDPの高い国の方が長寿です。世界で最も平均寿命が短い南アフリカ(男性:53.3、女性57.2、2008年)でも、極寒のロシア(男性:61.8、女性:74.2、2008年)でも同様に女性の方が長寿です。
災害が起こった時に大きな被害が出て、たくさんの人が亡くなるのは貧しい地域や国の人たちです。