13.健康はありがたい
ヒトは病気なると健康のありがたさをしみじみと感じます。それまでの生活の中での些末な悩みや恨みなどどうでもよくなります。「この病気さえ治れば・・・」「元のように健康になれば・・・」と思います。治療することによって完治する病気もたくさんあります。その代表は感染症でしょう。これもかつて抗菌薬や抗ウィルス薬ができる前は、生命を脅かす脅威であったはずです。肺結核は昭和の25年くらいまでは、日本人の死亡第一でしたし、その後、脳溢血は1980年代までは死因の第一でした。
現在は悪性新生物(癌)が日本人の死因の第一位となっています。3人に一人は癌で亡くなる時代です。また2人に1人は生涯において癌に罹患するともいわれており、癌は身近で怖い病気と受け止められています。しかしながら、癌は患者数も多いため、多くの研究がなされ、治療法も多岐にわたり、完治する方も多くなっています。なので、怖さは減少してきているかもしれません。私が学生の頃は、癌と診断されたらもう人生の終わりで、痛みに耐えながら辛い治療を受けながら、その治療のほとんどは甲斐なく、苦しみながら最期を迎えるという悲惨なイメージがありました。現在では、多くの方が完治したり、緩解できるようになりました。完治できない場合でも緩和医療が普及しており、安らかに人生の最期を迎えることができるようになりました。それでもやはり多くの人は癌と診断されると本当に驚き、辛く、悲しく、運命を恨み、ある種の「うつ状態」を経験されます。しかし何度も言いますが、現在は癌は治る病気になりつつあります。
鍼灸でがんは治せません。しかし、痛みをとったり、自律神経を整えることで夜眠られるようにしたり、食欲が出るように体調を整えたり、むくみをとったり、免疫力を高めるという形で、がんと闘う患者さんを応援できます。
また、がんの治療後の抗がん剤の副作用による痺れなどにも効果があるといわれています。抗がん剤の副作用についてはまた別のページでお話しします。