14.難病というものについて
がんは治る病気になりつつありますが、治る病気に比べて、原因も治療法もわからない病気の方が多いのが現実です。原因や治療法がわからない難病のうち国が定めた基準に該当する338疾病を指定難病といいます。筋委縮性側索硬化症やクローン病、サルコイドーシス、全身性エリテマトーデス、パーキンソン病など聞いたことのある病名もあるのではないでしょうか。
これらの病気は、手術によって「切った・はった」で治ることもないし、魔法の新薬で完治することも今のところありません。症状を抑えながら、生涯を通じて上手に付き合っていかねばならない疾病です。病気の進行や先の見えない不安や、やりたいことが自由に行えない不便さや悲しみに耐えながら、生きていかねばならない病です。
今現在、若くて、元気で、運動も仕事も生活もすべて自由に行える人たちには、「健康はありがたい」という言葉は届かないかもしれません。世の中には多くの病とともに生きている人たちがいて、その人たちも、それらの病気なる前までは、病気の苦しみも健康のありがたさもどちらも知ることなく生活しておられたことでしょう。
医療の世界にいると多くの患者さんと向き合います。多くの患者さんと一緒に病と向き合います。多くの患者さんの人生とも向き合います。
今現在、本当に健康で元気な人たちに言いたいのです。「健康って本当に本当にありがたい、神様からのギフトである」ということを。