16.ブレスローの7つの健康習慣 1)タバコをすわない
さて今回はブレスローの7つの健康習慣について少し語ります。
タバコは「百害あって一利なし」といわれています。実際のところ愛煙家の方には申し訳ないのですが、様々な疫学データや統計の解析により、やはりタバコは身体に良くないというのが今の【正義】となっています。様々な反論もあります。「喫煙率は減っているのに、がん患者は増えている」とか「タバコ以外にもっと身体に悪いもの(アスベスト、排気ガス、PM2.5などの大気汚染、ダイオキシン等々)がたくさんある」とか「タバコを吸っている方が、メンタルが健康だ」とかです。でも、公衆衛生学で統計をしていると、やはり喫煙者の方が生命予後という観点だけでなく、がんだけでなく他の様々な疾病における罹患率においても、非喫煙者よりも悪いのです。
私の年代の方は、喫煙する方が多いです。私たちは、大学生になったら、大人の証のように一度はタバコに火をつけて、大人の仲間入りをした気分になって背伸びをしたものです。私も若いときは当然のようにタバコを吸っていました。
愛煙家の方には、(たくさん税金を払ってもらっているのに)肩身の狭い思いをさせ、喫煙の自由を奪い、生きにくい世になっていますね。いつか、またどこかで「喫煙は健康に全く影響はない」という論文が出るかもしれません。が、それはかなり望みが薄い・・・と思います。
「あなたの健康のためにタバコをやめなさい」とは言いません。それは偽善者のように感じてしまうので、私は言いません。ヘビースモーカーでタバコが大好きだった私の父は「タバコをやめて5年寿命が延びるよりも、死ぬまでタバコを吸っていたい」と言いました。その言葉通り、父は亡くなる直前までタバコを吸っていました。ちなみに癌にもならず、肺の病気にもなりませんでした。
人の生き方は様々です。それに対して、「長生きは良いことだ」という価値観を他人に押し付けてはいないか、自問自答しています。ただ科学者の端くれなので、知っているデータや知見については、患者さんに正しく伝えたいと思っています。それを判断するのはそれぞれの人だということでしょうか。