心と身体の養生ブログ~1-30

25.「心身一如」の続報・追伸:スピノザの心身並行論

 このブログの最初の項目「心身一如」についての続報です。「心身一如」は東洋医学の基本概念であると書きました。しかし最近読んだ本の中に「心身平行論(並行説)」という言葉を見つけました。西洋哲学の中にも同じような考え方があったのを知りました。哲学は専門外なので、胡乱なことは言えないのですが、少し紹介します。誤解、曲解があるかもしれませんと前もってお断りしておきます。

 フランスの哲学者デカルト(1596-1650)は「我思う、ゆえに我あり」という有名な言葉を残した近代哲学の祖といわれる方です。彼はこの命題に、考える主体としての自己(精神)とその存在を定式化したといわれています。さてこのデカルトは「心身二元論」をとっており、心と身体を別のものとして切り分けて考えていました。すなわち「自分の心」は身体や外部の世界から独立した存在だとし、身体は「精神の延長」に過ぎないとしました。これには当時の保守的思想であったスコラ哲学が信仰により真理に到達しようとしていたのに対して、デカルトは人間の持つ「自然の力(理性)」によって真理に到達しようと考えたからです。

 一方、オランダの哲学者スピノザ(1632-1677)は「心身並行論」を唱えました。精神と身体は相互に影響しあうもので、一方だけが他方に影響するものではないとします。つまり「心が弱っている⇒体調が悪い」ということもあれば「体調が悪い⇒心が弱っている」という因果関係も同時に存在するということです。

 このスピノザの心身並行論は、心身一如と同じことを言っているなあ、とこの本を読んでいて学習した次第です。 鍼灸は自律神経を整えます。そして気持ちがリラックスして、ゆったりとした気持ちになります。鍼灸の患者さんにも、自律神経失調症やうつ病などのメンタルの病気の方が多く来られます。鍼灸で身体と自律神経を癒し、少しでも健やかな日常生活を送ることのお手伝いができると思っています。

参考文献 1)アバタロー編集.人生を変える哲学者の言葉123. 東京 きづな出版 2023.4.30