28.反論②:「老年は肉体を弱くするから惨めだ」ということを砕けて解説
一言で表現すると「老年は肉体を弱くするからどうだっていうのだ」です。
キケローの言葉を引用すると、【老年には体力が欠けているか?いや、老年に体力は要求もされない。だからわしらの年輩は法律と制度によって、体力無しでは支えきれない義務からは免れているし、できないことはもとより、できるほどのことでも強制はされないのだ】ということです。
だから若い人と同じように走ったり、重い荷物を運べないからと言って、老年が惨めなものと考えるのはおかしいのです。
しかしキケローは、こうも続けるのです。若い人ももれなく老人になるけれど、病弱な老人にならないために、病と老いに戦わなくてはならないと述べています。時代も場所も違いますが、健康な長寿を目指すために日々生活を節制して過ごさなくてはならないという貝原益軒の「養生訓」に通じる考えだと思います。