3.平均寿命と健康寿命;死ぬまで元気に生きたいですね
ちょっと硬いお話です。
厚労省のデータによると、令和4年(2022年)の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳となっています。この数字は、その年に生まれた0歳児の赤ちゃんが平均的に女の子なら88歳近くまで生きますよということです。ですので、仮にこのHPを見ている方が75歳の女性なら、その方はさらに16.08年ほど長生きできます。これを75歳の人の平均余命というのですが、2022年に75歳の女性は91歳以上まで平均的に生きるということです。75歳の貴方、「もう年だから!」とか言っていませんか?まだまだ平均的に16年は時間が残されています。人生をあきらめるには早すぎます。元気を出して、外に出かけませんか?
さて「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を健康寿命といいます。この健康寿命は令和元年(2019年)のデータで、男性は72.68歳、女性75.38歳となっています。平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性は約12年となっています。つまり男性は9年、女性は12年、亡くなる前に何某かの介助を受けないと生活できないということを示しています。私たち日本人は、とても長生きできるのですが、健康で日常生活に不便を感じることなく過ごせる時間は残念ながら、それよりも短くなります。人生の最後の多くの時間、不便を感じながら生活せざるを得ない方が多いということをこれらのデータは示しています。
私たちが最も願っているのは、できるだけ最期まで自分らしく、他人のお世話にならず、自分の力で生活したいということではないでしょうか。厚労省でも「健康寿命の延伸」を目標に様々な施策を行っています。私たちも「自分の健康は自分で守る」ことが重要です。それには若い時から食事、運動、睡眠などの生活習慣を整えることが重要であるといわれてきました。
ヒトの健康的な生活を維持するために「養生」という概念があります。日本では江戸時代に貝原益軒という方が「養生訓」という書物の中で、健康に生きるための様々な知恵や方策を述べています。それらの知見の多くは現代医学の知見でも証明されている非常に優れた内容が多いです。養生とは本来あるべき姿でいられるように維持・保護することを意味します。転じてヒトに対して用いるときは、健康に注意して元気いられるように注意することを意味します。私たちの先祖は「病気にならない」ために「健康を維持・増進する」ことに努めていたのです。この養生という考え方が東洋医学の根幹となります。東洋医学では、ヒトが本来持つ自然治癒力を高めて、自分の力で疾病を予防し、改善することを目指します。
西洋医学、公衆衛生学の発展は日本人の寿命を非常に伸ばしてくれましたが、これからはこの長く延びた寿命を健康に過ごすために、東洋医学の知見を用いて死ぬまで元気に過ごしたいものです。
参考文献
1,厚生労働省.
令和3年簡易生命表の概要https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/index.html令和元年簡易生命表の概況.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-14.pdf2.厚生労働省.
健康寿命の令和元年値について.
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf