4.長生きはめでたいことだと思います
今から40年近く前の話です。1980年代後半くらいです。友人のおばあさまが99歳と何某で、あと数ヶ月で100歳を迎えられるというときの話です。彼女は「100歳になったら、市からお祝い金100万円がもらえるから、なんとしてもそれまでは生きていてもらわないと」という話を、冗談交じりにしておりました。それくらい100歳まで生きることは珍しく、またとてもめでたいことと私たちもとらえていました。
またもや厚労省のデータからのお話なのですが、令和4年9月の発表では、令和4年の百歳以上の総数は90,526人だそうです。昭和38年に全国では153人しかおられなかった100歳以上の方は、昭和56年に1,000人を超え、平成10年には10,000人を超えました。また令和4年の100歳以上の高齢者のうち80,161人(89%)は女性だそうです。やはり女性は丈夫です。
下に示すのが100歳以上の高齢者数と平均寿命の推移のグラフです。Nippon.comさんのHPからの引用です。私の友人のおばあさまが100歳を迎えられたのは1980年代後半でしたから、本当に当時は珍しいことだったのだと、このグラフからもわかります。
現在は、かつてのようにお祝い金はないようですが、100歳を向かれられた方には、内閣総理大臣からのお祝い状と記念品が贈呈されるようです。100年を生きるとのは、それなりに様々なご苦労を乗り越えられてのことです。100歳を迎えられたご老人に対して、やはり敬意と慈しみの気持ちをもって、おめでとうとお祝いして差し上げたいですよね。
なぜ9月に発表されるかというと、老人福祉法で9月15日が「老人の日」と定められているからなんですね。老人福祉法では、「国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す」ためにこの日を定めているそうです。ここでお話ししたいのは、「老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促す」という点です。何もせずに、自らの老いを時の成り行きと周囲の変化に任せるのではなく、ご老人の方一人一人も自らの生活、すなわち健康に気遣いながら、生活の質を維持してもらいたいという意味が含まれていると思います。今、私の周りを見ていても、ご老人の方々はとてもアクティブで自らの健康を維持するために、ゲートボールや趣味の時間を過ごしたり、町内会ではラジオ体操の時間を設けたりして、ご老人の健康維持を図っています。これこそが「養生」なのです。日々、健康に長生きすることに価値があります。もちろん、年齢を重ねると誰でも血圧は高くなります、目の水晶体も濁ってくる(白内障)でしょう、膝も痛くなるし、腰もだるいでしょう。それでも1日も長く、人の世話にはできるだけならないで、自分のことはできるだけ自分でやれる自立した日々を過ごしたいと、ご老人の方が一番望んでおられるのです。
引用