7.鍼灸を用いて楽々生活を
鍼灸院を訪れる人には、「湿布を貼ってももう一つ痛みが改善しないなあ」とか、「痛み止めをずっと飲み続けるのは心配」という人が多くおられます。まずお断りしておきます。とってもとっても大事なことなのですが、鍼灸で「原因となる疾患は治りません」ということ。椎間板ヘルニアの突出したヘルニアは外科的処置でしか取り除くことはできませんし、膝関節の骨棘がなくなることも癌が鍼灸で消滅することもありません。それでも多くの人が鍼灸院に訪れるのは、「この痛みをとってほしい」、「痺れをとってほしい」、「眠られるようにしてもらいたい」、「便通を整えたい」など身体の調子を整えて、生活の質を高めたいのです。
女性の患者さんで多いのは「膝の痛み」です。年齢を重ねても自分の足で歩きたい、自分のことは自分でできるようにしていたいと、皆さんおっしゃいます。加齢により、膝の関節腔液が減少したり、関節に骨棘ができたりして、階段の昇降や歩行時に膝が痛むのですが、例え手術をしたとしても、日常生活をなんとなく過ごすことは可能になっても、痛みなどの不調が残る場合があります。そんな時に鍼灸では、膝の周囲にある痛みを軽減するツボや、脛やふくらはぎのツボにも刺鍼をします。変形性膝関節症については、また別の章で詳しくお話しするとして、このような膝の痛みなどに鍼灸はとても効果があります。鍼灸で痛みを抑えつつ、外用薬(湿布)や時には痛み止めも併用しつつ、身体の調子を整えていけばよいと考えています。
それでは、次章からは鍼灸にできることってまとめてみましょう。