心と身体の養生ブログ~1-30

8.鍼灸にできること ①痛みを和らげる

 以下の記事は、鍼灸の教科書(「はりきゅう理論」東洋療法学校協会)からの引用を含みます。

 痛みを和らげるということで多くに人が思い浮かべるのは「鍼麻酔」というものではないでしょうか。ネットを検索すると、鍼による麻酔で手術を行っている写真が出てきます。残念ながら、私はそのような場面に立ち会ったことも、見たこともありません。「耳麻酔」というものらしいのですが、残念ながら私はよく知りません。耳にはたくさんのツボがあって、身体の様々な症状の緩和やダイエットにも効くということですが、こちらも申し訳ないのですが、私は行いません。もしも自分が患者の立場になったら、手術をするときには、近代医学で行っている薬物による麻酔を行ってもらいたいと個人的に思います。実際には、鍼麻酔といわれるものは「麻酔」ではなく、無痛でもなく、むしろ和通といわれるものだそうです。とはいえ痛みの緩和は、鍼灸の得意とするところです。身体の様々な痛みに対して鎮痛薬を持続的・定期的に飲み続けることに比べると、鍼灸による痛みの軽減の方が身体に対する負担をかなり少なくできるのではないかと考えています。

 本稿では、鍼刺激による筋肉や関節への和痛について解説します。

 まず一つ目は、神経系の抹消経路による作用です。鍼刺激によりポリモーダル受容器、神経系のC線維が発現し鎮痛作用を示すというものです。

 二つ目は、下行性痛覚抑制系といわれるものです。脊髄後側索や脊髄後角が痛覚情報を脊髄全体にわたって遮断するというものです。

 三つめは、内因性モルヒネ様物質による鎮痛です。下垂体から分泌されるβエンドルフィンが鍼鎮痛発現に関わっているといわれています。

 その他、ゲートコントロール説など諸説ありますが、臨床の現場では鍼灸刺激は痛みに対して即効性があるということです。様々な関節痛や筋肉痛に対して、もちろん個人差はありますが、1回の施術だけで鎮痛の効果を得ることができます。しかしながら誤解をされないように申し上げるとすれば、鎮痛効果の効き目と持続時間には個人差があり、慢性の痛みであればあるほど、数回にわたって施術を受けていただく必要があります。