34.下腿のツボ:三陰交と足三里
下腿のツボで私の好きなのは、三陰交と足三里です。他にもたくさん使うのですが、私はこの2つはほとんどの患者さんに使っています。
三陰交は太陰脾経のツボですが、名前の示すように足にある3つの陰経(太陰脾経、少陰腎経、厥陰肝経)が交わるツボと考えられています。陰経だとか、陽経だとか、一般の人にはなじみがない表現ですね。東洋医学では、身体に6つの陰経と6つの陽経があるとしていて、その一つ一つに臓器の名前がついているのですが、まあその辺りの説明はここでは省略します。内くるぶしの上、指4本分あたりの後側にあります。押すと痛いです。婦人科疾患の多くの症状と浮腫みにとてもよく効くツボです。逆に妊娠初期には鍼をすると流産の恐れがあるので気を付けなくてはなりません。女性で生理痛や生理不順があって、足が浮腫んで辛いというような方にはとてもお勧めのツボです。
足三里は陽明胃経の合土穴、四総穴の一つ、胃の下合穴という何とも盛りだくさんの異名を持つとても効果絶大なツボです。とにかく胃に効くツボですが、足の疲れにも膝の痛みにも、歯痛にも、夏バテや冷房の冷えにも効果があるそうです。奥の細道で松尾芭蕉が毎日お灸をしながら歩いたというツボです。鍼をさすとズ~~ンとした得気(響きみたいなもの)を感じます。それが痛くて苦手という方もいます。身体全体に響くので怖いという人もいます。しかしながら、それほど効くということです。膝のお皿の指4本分くらい下の少し外側というところです。前脛骨筋中にあります。なんとなく冷房で身体も冷えて、夏バテで食欲もなくて、足もだるくてしんどいような人は、ちょこっと押してみるとか、市販のお灸を置いてみるというのはいかがでしょうか。