三陽院通信

2024年2月 花粉症にだって鍼灸治療!!ホンマかいな??

あららという間に、節分を迎えてしまいました。節分が本当の1年の始まりという方もいます。今年はどんな年になるのかしらとワクワク楽しみしています。

この通信は三陽院がご縁をいただいた方々にお送りしています。

2月の初旬には書く予定だった三陽院通信ですが、根っからのぐうたらで遅筆のため2月下旬に焦って書いております。何を書こうかなというのはいつも悩むところです。

さて季節は『花粉症』のころとなりました。薬局で『花粉症対策』のチラシが置いてあり、天気予報で花粉の飛散予報が始まると「もうそういう季節なのね」と思います。何を隠そう私は花粉症ではないのですよ。昔人間なのです。

昔は花粉症なんてなかった。これは真実。

「昔はそんなに花粉が飛んでなかったの??」と疑問に思う方も多いでしょう。日本は山の面積が国土の70%あるんだし、昔から木はたくさん植わっていたはず!確かにそうだ。一説には1960年代に大量に杉が植林され、さらに地球温暖化もあって、杉の花粉飛散量が増加し、花粉症を発症する人が増えたとか。あるいは大気汚染のせい、あるいは食生活の変化、さらには寄生虫の減少などが花粉症の患者さんの増加に関わっているそうです。

花粉症を有する人の数は、正確なところ分かっていませんが、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギー全国疫学調査において、花粉症を有する者が29.8%であったとの報告があります。

今や国民病ともいえる花粉症ですが、やはり早めの治療が良いようです。

花粉症の症状が起こりはじめたごく初期では、鼻粘膜にまだ炎症が進んでおらず、この時期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができるそうです。

そのほか自分でできる対策としては、マスク、眼鏡、帽子などで花粉をシャットダウンする。洗濯物は部屋干しする。コートはつるつるした素材のものにして、玄関に入る前にはたくこまめな掃除をする。空気清浄機を使う。なんにでもいえるけど、規則正しい食事、生活、睡眠で身体の調子を整えておくことでしょうか。

さてさてその花粉症に鍼灸はどう対応するのか?というところです。

花粉症に効くツボとしては迎香印堂があります。太衝足三里もあわせて有効といえます。

これらのツボを気持ちよい程度の圧で押してみてください。

印堂は眉間の間にあります。鼻のトラブルを改善し、鼻が通りやすくなるツボです。気持ちを落ち着けたり、イライラ解消にも効果があるといわれています。

迎香は、小鼻の両脇の少し凹んだところで、鼻炎や花粉症に効くツボです。

太衝は足の甲側で、親指と人差し指の骨の交わる場所のくぼみです。鍼で刺すと飛び上がるほど響く時もあります。自律神経を整えて、血流やリンパの流れを調整するといわれています。足の冷えや浮腫みにも効きます。東洋医学では肝経の原穴ともいわれ、肩こりや筋肉の緊張の強い人にも私は刺鍼しています。

最後に足三里です。足三里というと、松尾芭蕉が全国行脚をしたときに自ら足三里にお灸をすえて自己治療をしていたというツボです。胃経のツボで消化器系にも有効ですし、足の疲れや自律神経を整えるのに有効と言われています。近年では、足三里は免疫力を上げて感染症の予防にも有効と言われています。鼻づまりにも効果があります。

鍼灸治療でもそんなに症状がひどくなる前に始めていただくのが良いと思います。私の治療院では、これらのツボの他に全身の調子、自律神経を整えて、より快適に日々を過ごしていただけるようにお手伝いさせていただきます。

参考文献

厚労省 平成22年度花粉症対策
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html

馬場廣太郎、中江公裕:鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)-耳鼻咽喉科医とその家族を対象として-Progress in Medicine 28(8):145-156.2008