対象とする症状と疾患

1.頭痛

頭痛はよく起こる症状です。たいていの人は経験したことがありますよね。熱の出た時、疲れた時、寝不足の時、肩の凝った時、悩みのある時、本をたくさん読んだ時、テレビやスマホで目が疲れた時などなど特に器質的な病気がないけど、「頭が痛い」といことはよくあります。

でも、脳出血や脳腫瘍、緑内障、脳圧亢進症状としての頭痛の時もあります。脳血管疾患によるものや腫瘍のものは直ぐに病院に行ってください。鍼灸が取り扱えるのは、筋収縮性頭痛や片頭痛(片頭痛型血管性頭痛)といわれるものです。

【対象となる疾患】

  • 筋収縮性頭痛
  • 片頭痛(片頭痛型血管性頭痛)

【西洋医学からみた取穴(鍼灸師向け)】

筋収縮性頭痛
天柱、風池、肩井、懸顱
筋の過緊張をゆるめ、局所の循環を改善して、頭痛の改善を図ります。痛みの部位を中心に、頭部や頸肩部の筋緊張、圧痛、硬結などの反応点に施術します。

片頭痛(片頭痛型血管性頭痛)
天柱、完骨、和髎、陽白
頭蓋外血管の拡張によって頭痛が生じます。拍動性、反復性の慢性頭痛ですが、患者さんはとても辛く、悪心・嘔吐や肩こり、閃輝暗点などの症状を伴うことがあります。自律神経の調整、血管運動を安定させる目的に施術をします。

【東洋医学からみた解説(鍼灸師向け)】

東洋医学では頭痛は、外感性のものと内傷性のものに分けて考えます。

外感性の頭痛としては、
風寒(寒邪のせいで頭部に気血の運行障害が起こる。実証:疎風散寒
風熱(熱邪のために、気血が頭部に逆乱する。実証:疎風清熱
風湿(湿邪のために、清陽が頭部に到達しない。実証:疎風去湿
などによるものがあります。

内傷性の頭痛には、
肝陽の亢進によるもの(実証:平肝潜陽
痰濁(痰濁が頭部に影響して清陽が頭部に到達しない。実証:化痰降逆
瘀血(外傷、久病により脈絡が阻滞する。実証:活血化瘀
腎虚(髄海が空虚になる。虚証:補腎益髄
気血両虚(気虚のため清陽が頭部に登らず、血虚のため頭部に栄養できない。虚証:益気養血
があります。

痰濁による頭痛
中脘、豊隆、合谷、百会、頭維
痰濁が頭部に影響して清陽が頭部に到達しないと頭痛が起こると考えます。日の運化作用の経過による症状や、痰濁の上逆による症状を伴うことが多いです。
気血両虚による頭痛
百会、心兪、脾兪、足三里、三陰交
気虚のため清陽が頭部に登らず、血虚のため頭部に栄養できないと頭痛が起こると考えます。動くと疲れ、倦怠感、無力感、食用不振を伴いやすく、脾気虚がベースにあると考えます。