3.顔面麻痺
顔面麻痺には中枢性のものと末梢性のものがあります。顔面神経の走行中に様々な原因があって神経伝導系が障害されて麻痺がおこることを顔面麻痺と言います。さらには中枢性(前額部の皺寄せができない)、耳性(耳閉塞感や中耳炎の症状を伴う)、腫瘍性(難聴、耳鳴り、めまいを伴う)、損傷性(外傷の後に生じる)、神経変性(発症初期で麻痺程度が強い)など様々な原因で顔面麻痺がおこります。鍼灸の対応となるのは、ベル麻痺と、一部のハンター症候群です。
【対象となる疾患】
- ベル麻痺
前額(患側)のしわがなくなり、皺寄せ不能。閉眼不十分、強く閉眼すると眼球が上方に回転する(ベル現象)。口唇間が開き、口角は下がった状態。患側の口角は検束に引かれる。鼻唇溝は消失または浅くなる。口笛が吹けない。食物が患側口中にたまる。
【西洋医学からみた取穴(鍼灸師向け)】
ベル麻痺:
血行を改善して、神経機能の回復を促進する目的で刺鍼する。
:陽白、四白、地倉、翳風、天柱
【東洋医学からみた解説(鍼灸師向け)】
顔面麻痺は「口顔歪斜」といい、顔面の脈絡が空虚になっているものに風寒の邪が侵入したと考える。
①少陽経(病が少陽経に波及。散風通絡)
②陽明経(病が陽明系に波及。散風通絡)
③肝血虚(病が長期化し肝血虚に進行したもの。補益肝血)
のタイプがある。
風寒による顔面麻痺:
風邪の除去。顔面部の経気の巡りをよくする。手足の陽明経、手足の少陽経に取穴する。
:地倉、頬車、陽白、四白、攅竹など